オルタナティブ投資

仮想通貨はビジネスに使えるものでしょうか

仮想通貨はビジネスに使えるものでしょうか
吉濱 最近ではインターネット上で使用される電子通貨である、「トークンエコノミー」も注目されています。ネットサービスを提供する側がトークン(代替貨幣)を発行し、サービスの利用者は特定の行動をすることでトークンがもらえ、それを別のサービスを受け取るのに使うことができるという仕組みです。

「仮想通貨」と名付けたのが誤解を生んだ最大の理由だった
識者たちが語る、 FinTechの過去と未来

岩下:仮想通貨は、仮名あるいは匿名で取引できるのがメリットだと、つくった人は考えたんですけど。取り締まる側からすると、匿名で取引されちゃうと、マネロンの対象になってしまう。あるいは、さまざまな脱税のリスクがあると。そういうことを避けるために、例えば廣末さんのところでは、ちゃんと実名で、「『KYC(Know Your Customer)をやってくださいね』ということを徹底しましょう」と言ったのが、2015年の「FATF」です。

高島:なるほど。当然、それだけの方が大きなお金を預けて、それだけ多くの方が利用されてるということですから、そこに対して当局がチェックをしていくということは、流れとしてはわかるわけなんですが。

法制化はどんな影響をおよぼすのか

増島:実は日本が(法制化などで)先行してますという話をしましたけど。同じぐらい、もうちょっと早く先行しているのがニューヨークで、「ビットライセンス(ビットコイン事業者に対する法律)」というものがあるんですね。

コインチェック騒動以降で規制の動きは変わった

高島:でも、さっきの岩下さんの説明でいくと、やっぱりマネーロンダリング、消費者の保護という点については、必要な改正・規制はしっかり行ったんだということからすると、いずれにせよ、方向性としては、こういった規制は必要だったのかなと思うんですが。例えば、この規制によって、逆に盛り上がるべきところがすごく押さえつけられてしまっている……というところは、出てきてないんですか?

廣末:いや、今、増島先生がおっしゃってた感度そのものだと思いますね。規制は一定以上必要だと思いますし、やっぱりルールがないと、いろんなトラブルとか問題が起こる。改正資金決済法ができた当初は、事業者とか将来のことを考えて、金融庁もある程度イノベーションスタンスだったんですけども、コインチェック以降は180度転換してまして。

高島:なるほど。「今の規制があったって、あれは防げなかったんだ」というご指摘もあったわけなんですが、そういう中で廣末さんはいわゆる業界団体で、1つの組合というか、団体をつくられたというお話なんですが。これの目的はなんでしょう?

廣末:これは、大前提として、「利用者保護のための最低限のルール」をつくっていかなきゃいけない、というのが目的ですね。

高島:なるほど。

イノベーションと安全対策について

高島:岩下さん、ちょっと戻りますけど。今、業界ではそういう動きをしてますと。一方で、規制当局の規制は、「コインチェック(のような問題)が起きないための規制になってないんだ」というご指摘もあったんですがいかがでしょう?

岩下:もし今やってる規制でコインチェックが防げないんだったら、意味はないですよね。廣末さんのご発言、ちょっと僕自身は耳を疑ったんですけれども。「今の規制をきちんと進めることによって、コインチェックを再び起こさない」ということが我々のかけ声になっています。

仮想通貨は「大きな岐路」に立たされている

高島:じゃあ、今、技術的なお話もけっこう出てきたと思うんですが。FinTechとか仮想通貨の話が出てきたそもそもの前提でいくと、例えば、ブロックチェーンとか、そういう支える技術の進歩によって、安全な取引ができるから、こういう信用度の極めて高いものもオンラインで(やり取り)できるようになったのが前提にあったから、安心してお金も預けたり、オンライン上でいろんなやりとりをしてたと思うんですが。

廣末:まあ、一定以上(の安全)というのが担保されているから、当然利用されているわけで。今までのコインチェックの話だとか、先日ちょっといろいろ起こりましたけども、モナコインの問題だとか、いろいろ問題が起こるわけですね。

高島:できるだけこのセッションでも、今後の明るい未来を話していきたいと思うんですが。要するに、こういった仮想通貨ないし、FinTechのいい部分、強い部分は、「これまでできなかったことができるようになる」といういい部分と、「(これまで大きな組織とコストをかけて築いた)今の金融システムが異常に強固にできてる」というところの、いい面同士を掛け合わせているところだというような、FinTechとしての動きもあると思うんですが。

伝統的な金融機関とスタートアップ、コラボの可能性は

高島:増島さん、例えばスタートアップと金融機関との、コラボレーションとか、こういう動きで最近のおもしろい話ってあります?

増島:海外の伝統的な金融の人たちは、なかなかこうクリプトに興味はあるんですけど、やっぱりAML、いわゆるマネロンリスク、マネロンリスクを横断的に見てみると、「やっぱクリプト危ねえ」ってみんな思ってるわけですよ(笑)。

高島:さて……。

増島:(笑)。

高島:いやいや、いいんですよ(笑)。「なるほど」って言ってる方と、途中からわからなくなってる方がいらっしゃったんで(笑)。

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