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リスクマネジメントとは

リスクマネジメントとは
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【社労士監修】リスクマネジメントの重要性とは?人事労務管理におけるリスク対策と必要性を徹底解説!

リスクマネジメントの不手際により、業務改善命令が発令される企業が増えており、多くの企業でコンプライアンスやリスクマネジメントを策定する動きがみられます。
企業や組織の存続を左右するリスクマネジメントでは、「顕在的・潜在的なリスクは何か」をしっかり把握することが大切です。しかし、リスクの性質と種類を正確に把握することは、決して容易ではありません。
この記事では、人事労務管理におけるリスク対策と、リスクマネジメントの必要性を詳しく解説します。

リスクマネジメントの必要性

危機管理・リスクヘッジとの違い

リスクマネジメントの実施方法

リスクの発見

リスクマネジメントとは
リストアップ チェックリスト法やアンケート法によって、リスクを洗い出していく方法
プロセスチェック フローチャート法を用いて、業務フロー記載し、想定されるリスクを洗い出す方法
シナリオ・アプローチ 将来の投資状況を想定し、それぞれのシナリオの生起確率を推測。市場を予測する方法
財務分析・会計データ活用 財務・会計を基準に、投機の可否や損失リスクを予想する方法
詳細調査 インタビューや文章チェックなどのアプローチから詳細を調査し、リスクを洗い出す方法
比較分析 強み、弱み、内的要因、外的要因を分析し、比較可能な事象のリスクを洗い出す方法
リスク管理部門の設置 取締役会で指名された執行役を委員長とする委員会を定期的に開催し、抽出されたリスクとその対応策を確認する方法

リスク分析

リスク評価

リスク評価

リスク分析を終えたら、リスクを可視化するためリスクマップを作成します。

【ヨミ】リスクマネジメント リスクマネジメントとは リスクマネジメント

リスクマネジメントとは、「事前に測定できる好ましくないリスク」を想定し、いかに実効性のある対応をしていくか、そのプロセス全体を指します。近年は経営を取り巻く環境の変化が激しく、リスクとなる要因が多様化かつ複雑化しています。その結果、リスクが想定される特定の部署が単独で対応することが困難になっています。そこで、リスクマネジメントの実効性を高めるため、リスクに対して全社的な視点に立ち、最適な方法で管理を行い、リスクを回避していくこと。また、適切な対応を実践していくことによって企業価値を高めていくリスクマネジメントのあり方が、今まさに求められています。

事業継続を脅かすリスクが増大している

ビジネス社会では、事業を継続して行うことが企業としての大前提です。事業継続は、企業の社会的責任と言えるでしょう。この大前提を脅かすものが、リスクなのです。実際、企業はかつてないほど多くのリスクに取り囲まれています。製品の事故、顧客からの苦情、偽装問題、情報漏えい、コンプライアンス違反、自然災害など、リスクとなる要因を挙げるときりがありません。また、原材料や石油価格の高騰、環境問題など新たな社会規制、事業のグローバル化やM&Aなど、経営を取り巻く環境は不確実性が非常に高くなっており(※)、企業が直面するリスクは一段と巨大化、かつ多様化しています。

現代では、避けることのできない重要な経営課題に

事業内容や従業員規模にかかわらず、リスクマネジメントが後手に回った結果、消滅していった企業は少なくありません。また、リスクマネジメントを怠った経営者が、巨額の賠償を命じられるケースも増えています。経営者の「過去からの業界慣行に従った」「今までと同じ判断を下した」といった言い訳は、もはや通用しません。厳しい判決が下されるのも、経営者には会社法の下、企業が直面するリスクに対する管理や内部統制の構築を行う義務があるからです。当然、これらを怠った場合の代償は大きく、投資家や顧客、取引先、金融機関、地域社会、従業員など、影響が及ぶ範囲は多岐に渡ります。つまり現代社会では、リスクをしっかりと管理できない会社は、生き残ることが難しいと言えます。このように企業におけるリスクマネジメントは、避けることのできない重要な経営課題であることが分かります。

3. リスクマネジメント導入のフレームワーク

何をリスクマネジメントするのか

1.自社のリスクを知る
・最初に、自社はどのようなリスクを抱えているのか、的確に知る必要があります。自社のリスクを知るにはまず、過去事例を詳しく調べること。さらに、社内アンケートやホットライン(報告制度)、モニタリング、監査などの手法を用いて、リスクを明確化します。 リスクマネジメントとは
・過去事例などを調べていく際、その目的はあくまで再発防止にあることを忘れてはなりません。関係者には、責任追及ではないことを事前に説明し、協力を得るようにします。

3.管理対象の明確化
・洗い出したリスクに対し、何をどこまで管理するのか、管理する対象を明確にします。ここでは何を基準とし、優先順位を付けていくのかを考える必要があります。例えば、下図に示したような経営や人事管理に対する「影響度」と、発生する「頻度」による二つの評価軸で、管理する対象を分類する「リスクマップ」を作成、ターゲットを絞り込むといったアプローチが考えられます。法改正が頻繁に行われている現在、人事ならではのリスクを意識することが大切です。

4.管理方法の明確化
・管理する対象がはっきりしたら、目的を達成するためにどうリスクをマネジメントしていけばいいのか、「全社的な視点で一元管理する」「各事業部門が事業計画として連携し管理する」など、管理方法を具体的に定め、明確化します。

【リスクマップの例(経営・人事管理に対するリスク)】

リスクマネジメントとは
頻度多 頻度少
影響大 景気変動、市場ニーズの変化
為替・株価変動、税制改革、労働法制改革・変更
労働力人口の減少、少子高齢化
人材流出(離職)、人材獲得(採用)困難 など
地震・津波、戦争・内乱
火災事故、水災洪水
不良債権、訴訟
リストラ、人員整理
情報漏えい など
影響小 人事制度改革、組織改革
労働災害、ハラスメント
システム障害・トラブル
業務の非効率化、生産性低下 など
社内不祥事・不正
盗難事故
人身事故
雇用差別 など
【参考】 コンプライアンス上のリスクの具体例についてはこちら↓ リスクマネジメントとは
コンプライアンス違反から生じる影響 業務上のリスクについて社会保険労務士などの専門家に意見を仰ぎたい場合は、『日本の人事部』の運営する『人事のQ&A』の利用をおすすめします。

「PDCAサイクル」に基づいて実施する

1. Plan:基本方針・計画の策定
・最初が、基本方針・計画の策定。経営トップの考え方を従業員に対して明確に伝え、会社の向かうべき方向を周知徹底します。基本方針が明確であることは、社外のステークホルダーに対して大きな意味を持ちます。
・具体的な計画を策定するには、直面する(予想される)さまざまなリスクに対して、どこから対応していくのか優先順位を決め、計画を立てるようにします。
・優先順位を付ける際は、まずリスクを洗い出した上で、それらを一定の基準で評価していきます。優先順位の高いリスクに対して戦略、目標と対策、期限をそれぞれ設けます。

2. Do:対策の実施
・リスク対策を進めていくには、リスクを細分化し、現場で行動を起こせるアクションプランへとブレークダウンする必要があります。
・実施に当たっては、社内外の専門家を交え、リスクに関連する業務を担当する専門のスタッフや事業部門が主導し、対応することが効果的です。

3. Check:モニタリング
・活動が形がい化していないか、実効性が伴っているか、モニタリングを並行して行うことが重要です。モニタリングには、「自己評価」と「リスクマネジメント監査」の2種類があります。
・自己評価は遂行する側が行うため、リスク管理に対する当事者意識や責任感を高めることができますが、モニタリングの客観性が阻害される可能性があります。
・リスクマネジメント監査は、第三者が経営者の代わりとなって、リスクマネジメントの仕組み全体を客観的にチェックするものです。自己評価の結果も含め、確認した内容を、経営者に直接報告します。

4. Action:修正・改善
・経営を取り巻く環境が激しく変化する昨今、リスクマネジメントにおいても見直しは必須です。そこで経営トップはモニタリングの結果を確認し、自社のリスクマネジメントの取り組みが期待通りに実践されているか、レビューを行います。
・さらにタイミングを見計らって、モニタリングで発見された問題点の是正・改善を行います。

リスクマネジメント体制と求められる役割

1. 経営者(CEO)
・経営者は、基本方針を決定し、最終責任を負う立場を担います。経営者が果たす役割として大切なのは、自社でリスクマネジメントを遂行する意志を、社内外に強く示すこと。そして、下図のような「リスクマネジメントの実施体制」を構築し、基本方針通りに進められているかどうか、レビューを行うことです。

2. リスクマネジメント担当責任者(CRO)
・CROは、リスクマネジメントに関わる全ての業務を統括する役割を担います。基本計画や実施に関する指示や承認を行うと同時に、経営判断を下すための報告や提案を行います。
・CROを置くことによって、社内のリスクを経営のトップレベルで把握し、全てのリスクに対してトップダウンで関与していくことができます。

3. リスクマネジメント委員会
・活動が形がい化していないか、実効性が伴っているか、モニタリングを並行して行うことが重要です。モニタリングには、「自己評価」と「リスクマネジメント監査」の2種類があります。
・CROとともに、リスクマネジメント委員会を置くことで、リスクマネジメントに特化した話し合いが頻繁に行われ、スピーディーで的確な意思決定が期待できます。
・委員会を設置することが難しい場合、経営会議の中で別途リスクマネジメントに関する議論を行い、同様の機能を持たせるようにします。

4. リスク管理部署
・CRO、リスクマネジメント委員会の下に置かれる、リスク管理のための専門部署です。各部門で実施されているリスク管理の取りまとめを行います。一元管理の実効性を保つためには、専門部署の設置は不可欠と言えます。
・リスクマネジャーを置き、各部門のリスク管理責任者と密に連絡を取っていく中で、情報提供やリスクに対する教育・意識づけなどの働きかけを行います。

5. 各部門の管理体制
・リスク対策の実行主体は現場の各部門です。ただし、リスクの性質に応じて、部門横断的なチームや地域単位、人事、経理、ITなど職能別に、管理単位を考えていく必要があります。
・現場におけるリスク管理の実効性を高めるには、現場リーダーとしてのリスク管理担当者を決めておくと同時に、担当者に対する情報提供が欠かせません。

関係者への働きかけ

1. 関係者への教育(研修)
・リスクマネジメントに関わる人材への教育(研修)は不可欠です。特殊性・専門性の高い場合は社外の専門家に依頼しても構いませんが、継続的な教育を行う場合には、社内講師が望ましいと言えます。
・座学によるテキストの解説だけでなく、内容によってはワークショップなどによる体験型の研修も必要です。また、継続的に学ぶためにeラーニングによるメニューを用意するようにします。

2. 情報共有の仕組みの構築
・社内におけるリスク管理に関する情報を収集・整理(データベース化)し、共有化していくことによって、見落とされていたリスクの発見や対応策の立案が可能となります。
・情報を管理する際には、「発現したリスク」と、想定される「発現していないリスク」に分け、毎年、更新していく必要があります。

3. 管理規定・マニュアル の作成
・管理規定・マニュアルは、実施すべき事項や守るべき事項を定めたもの。定められたルールに従った行動を行うことにより、リスクマネジメントに関する業務の標準化が図られます。
・状況によって、具体的に何をどのように行えばいいのかが分かるように、文書だけに限らず、画像や映像による対応(見える化)を行うといいでしょう。

導入する際の留意点

これまでのリスクマネジメントのあり方を見ると、コンプライアンスは法務部、情報セキュリティ関連は情報システム部が対応するといったように、各部門の業務の責任範囲の下、「部分最適」にリスク対策が行われていましたしかし、部分最適が進むことによって、リスクに対する統括責任者が事業部の責任者なのか、経営トップなのか、それともリスク担当役員なのか、不明確になります。その結果、効果的なリーダーシップが発揮されず、リスク対応が滞ってしまうことがあります。さらに、部門ごとにリスク対策を行った結果、複数の部署で重複した活動や似たような対応をしてしまうこともあります。このように部分最適ではリスクの一元管理が難しくなるので、留意しなくてはなりません。

部分最適に見られる問題点を解決し、リスクマネジメントの実効性を高める観点から、これからのリスクマネジメントは「全体最適」であることが不可欠です。そのためには、全社的な視点に立って全社のリスクを俯瞰(ふかん)し、マネジメントできる統括責任者を決めておく必要があります。その下で、リスクマネジメントが適切に行われなければなりません。全体最適型のリスクマネジメントであれば、各部門がどのようなリスクを抱え、どのような対策を行っているか、一元管理することができます。同じような対策が必要なら、同時に行うなど効率化もできるようになります。

4. リスクマネジメントの実際

リスクマネジメントの事例紹介

(1)製品の品質管理体制

1. 全般的な必須事項
・品質管理には、必須となる基本条件となる事項があります。例えば、材料・製品の「先入れ先出し」の実行。その他にも、「工場や倉庫の温度・湿度の適切な管理」「機械設備の清掃管理」などがあります。これらは、間違いなく実行されなくてはならない事項であるため、そのためのチェック機能を万全にしておく必要があります。

2.製品の梱包
・梱包の管理も怠ることはできません。直接製品に触れる梱包材料は、その材質や印刷インキなどに安全上問題がないことを、基準を設けて確認します。また、梱包・容器は、製品として出荷後の物流、保管時の安全確保も考慮した仕様としなければなりません。

(2)情報漏えい対策

1. 保管
・紙媒体は、限られた担当者しか持ち出せない状態にする必要があります。セキュリティルームや施錠できるストレージに保管するなどの措置が求められます。
・また「どんな情報」を「どの程度」保管しているのかを、把握しておくことが重要です。個人情報の管理台帳を作成し、定期的に棚卸しを行うといった措置が有効です。

2. 廃棄
・「そのうち、役に立つかもしれない」と、紙媒体を保管し続けてしまうケースが見受けられます。「廃棄」という行為は、適切に行うことでリスクをゼロにする最良の対策と言えます。
・その際、廃棄する時期や方法を明確にすることが不可欠です。また、廃棄する方法として、シュレッダーを利用する、外部業者を利用するといった方法を、事前に決めておくことが重要です。

3. 外部委託先管理
・外部委託先からの情報漏えいも、少なくありません。外部に委託する場合は、情報管理の体制として執務室への入退室管理、預けている情報のアクセス制限など、選定基準を明確に定めておく必要があります。また、要求事項に関するチェックリストを用意し、口頭だけではなく、その内容を業務委託契約に盛り込むことが効果的です。
・モニタリングの観点から、外部委託先が要求事項を守っているかどうかを、定期的に確認します。守っていない場合は、契約解除ができる条項を契約書類には入れておくようにします。

(リスクマネジメントとは 3)グループ・リスクマネジメント対策

1. 方針の策定・導入計画の策定
・グループ・リスクマネジメントの導入で不可欠なのが「グループ・リスクマネジメント方針」です。リスクマネジメントの範囲、目的、親会社と子会社の責任と権限といった、基本的な事項を定めます。
・次に、グループ・リスクマネジメントを導入するための計画を作成します。その際、「導入順序」や「導入期限」などを、あらかじめ定めておくことが肝心です。

3. 浸透状況のモニタリング
・グループ・リスクマネジメントを確実に浸透させるためには、モニタリングが不可欠です。各子会社に導入した後、どの程度、従業員の理解が進んでいるのか、実際に機能しているかを確認することを忘れてはなりません。

4. 改善
・モニタリングを行った結果、発見された問題を改善します。その際、発生した問題がその子会社特有のものなのか、他の子会社でも同様に発生するものなのかを、親会社はしっかりと見極める必要があります。
・他の子会社でも発生し得る問題の場合は、問題が顕在化する前にグループ全体で対処しなくてはなりません。場合によっては、グループ・リスクマネジメント方針や導入計画の見直しを行うこともあります。このような形でPDCAサイクルを回しながら、グループ全体としてのリスクマネジメントを図ります。

親会社と子会社の責任と所在が曖昧では、実効性のあるグループ・リスクマネジメントは期待できません。実行主体が親会社なのか子会社なのか、それに伴い不祥事が発生した場合の親会社と子会社の責任はそれぞれどのように問われるのか。また、責任に見合った権限として何を付与するのかなどを、事前に明確にする必要があります。

5. 実効性のあるリスクマネジメントを行うために

被害・ダメージを最小限にするための対応

1.情報の伝達
・重大な事故や事件が発生した際、現場で情報を吟味(取捨選択)するのではなく、リスクを管理する部門にいち早く連絡を行います。
・取捨選択することによって、必要な情報が見落とされてしまうことが少なくありません。そこで、普段から現場は緊急情報をそのまま管理部門へと伝達するよう、周知徹底しておく必要があります

2. 対策本部の設置
・緊急時には、対策本部を設置します。メンバーは経営トップ以下、リスク担当部署、法務、広報、総務・人事、営業、技術などの各責任者で構成。また、コンプライアンスを確保するため、信頼の置ける弁護士が必要です。
・対策本部では、緊急情報を集中管理します。判明した情報は、対策本部にある特定のPCなどに集約します。
・情報の発信も本部に一本化し、社内に対しては個別のメディア対応やSNSへの書き込みを禁止する旨を、従業員に周知徹底します。

3. 広報活動
・緊急時の広報には、謝罪、原因究明、再発防止を丁寧に伝えていくことが求められます。その際、情報を隠ぺいすることなく、コンプライアンス対応に努めるスタンスが最優先されます。また、プレス発表においては記者が記事にしやすいよう、起承転結・5W1Hを明確にして伝えるようにします。

経営トップの果たす役割とは何か

しかし、事業規模を問わず、そういったことを行わない経営トップを見かけることがあります。肝心の経営トップのメッセージや行動がなくては、従業員にコンプライアンスを求めても、主体的な行動を促すことはできません。むしろ、現場では負担が大きくなり、モチベーションが下がってしまいます。このような状態では、全社的にリスクマネジメントを進めていくことは難しいでしょう。だからこそ、経営トップは自らのメッセージがリスクを防止するという意識を強く持ち、言葉を発し、行動を示すことが重要なのです

人事部に期待される役割

リスクマネジメントの旗振り役として、人事部に期待される役割は大きくなっています。例えば、リスクが発生する前に、従業員の意識や行動面に何かしらの兆候が認められることがありますが、日頃から従業員の勤務態度や生活習慣などに変化がないかどうか、現場の管理職などの協力を仰いで観察していくことが求められます。さらに、人事部が情報を救い上げる仕組みとして、「社内相談制度」などを設けるのも効果的です。従業員が気軽に相談できるような雰囲気を作っていくことにより、事前のリスクの兆候を把握し、対応することが可能になります。

問題の解決に当たって関係者から事情聴取を行うことがありますが、その際は個人情報やプライバシーに対する配慮が不可欠です。また、事実を客観的に把握するため、書類などの物的資料を重視し、じっくりと話を聴くこと、丁寧に事実確認をすることが人事部には求められます。

今後の課題と対応

(1)リスクガバナンスの構築

リスクマネジメントを進めていく上で、最も重要な位置付けを占めるのがリスクガバナンス、すなわち経営判断を司る「取締役会の機能強化です。リスクガバナンスは、取締役会が主導する領域。そこで、取締役会が戦略的な意思決定やリスク管理体制のモニタリングなどを適切に実行するためには、以下の四つの原則が求められます。

  1. リスクの考え方の共有:企業価値の保護と創造の両面からリスクが理解され、組織全体で共有されている
  2. フレームワークの共有:・組織全体のリスクマネジメントに対して、共有のフレームワークが活用されている
  3. 役割・責任・権限の明確化:リスクマネジメントに関する役割、責任、権限が明確に定められている
  4. ガバナンスに関わる会社機関の的確な監督:取締役会、監査役会などガバナンスに関わる会社機関が、その責任を果たすために組織のリスクマネジメント活動を的確に見通している

(2)リスクインフラの管理

リスクインフラとは、リスクマネジメントが機能するために不可欠な設備・施策・ITシステムを指します。リスクインフラの管理は、経営者が主導する領域と言えます。経営者が効果的なリスク管理プログラムを設計し、適切に実施、維持していくためには、以下の三つの原則が求められます。

  1. 共通のリスクインフラの利用:各部門がリスクに関する責任を果たすために、共通のリスクインフラが利用されている
  2. 経営者の責任の明確化:効果的なリスクマネジメントプログラムの設計、導入、維持に関して、経営者が最大の責任を負っている
  3. 適切な内部監査と監視機能:内部監査など特定の部署が、取締役会と経営者に対してリスクマネジメントプログラムの有効性を監視し、報告を行っている

(3)リスクオーナーシップの発揮

リスクオーナーシップとは、リスク対策の実行主体(当事者)のこと。リスクマネジメントにおいて、リスクが発生しないように策を講じる(発生後の対応を行う)のは各部門に他なりません。このようにリスクオーナーシップは、事業部門やスタッフ部門など各部門が主導する領域なのです。各部門が特定のリスクの認識、評価、監視、報告などを適切に実行するために、以下の二つの原則が求められます。

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リスクマネジメントの必要性は高まっている

リスクマネジメントのプロセス

リスクの種類

*1 ISO31000(Riskmanagement-Principles and Guidelines:リスクマネジメントー原則及び指針)

<内部要因>
財務リスク、コンプライアンスリスク、オペレーションリスク、戦略リスクなど
例)コンプライアンスリスク
取引先である大手企業の新製品について、公表前に知った情報に基づき取引先の株式を購入した

<外部要因>
市場・社会の変化、法改正、テクノロジーの進化、自然災害など
例)災害リスク
大規模災害の発生で通信インフラが遮断され、業務継続が困難になった

リスクマネジメントのPDCA

P 方針の決定、リスクの認識・評価・順位づけ、対応策の立案
D 対応策の実施
C 対応策モニタリング
A 対応策の評価・改善

リスクマネジメントのPDCAの要は「Plan」にあり

PDCAの中でも、適切なリスクマネジメントを行うために要となるのがPのプロセスです。
なかでも 「リスクの認識」 が極めて重要。なぜなら、認識できていないことにより洗い出せなかったリスクは管理する術がなく、リスクが顕在化したときに適切な対応策を検討することができないからです。それでは、どのようにプロセスを進めていけばよいかを3ステップでご紹介します。

Step1.リスクの洗い出し
このステップでは、リスクを可能な限りすべて洗い出します。洗い出しをする際のポイントは、日ごろの常識や思い込みを捨てること。「無理やりにもリスクを発見する」という意識で棚卸をしてみてください。 「ありえない・あってはならない・あたりまえ・あいまいさ」の4つの「あ」 を排除することも、リスクを認識するポイントだと、リスクマネジメント協会では提唱されています。

Step 2.リスクの評価・順位づけ
Step1で洗い出したリスクを、発生可能性と影響度の2軸で定量化します。定量化によってリスクの重大さが可視化されることで、洗い出したリスクを客観的に評価・順位づけできるようになります。

Step 3.対応策の立案
リスクを評価したうえで、対応策を検討します。「リスク対応の分類」に照らしながら検討してみましょう。

【リスク対応の分類】

  • (1)リスク回避:リスクを生じさせる要因そのものを取り除く対応方法
  • (2)リスク移転:リスクを組織外に「移転」する対応方法
  • (3)リスク低減:リスクの発生可能性を下げる、もしくはリスクが顕在化した際の影響の大きさを小さくする、
    またはそれら両方の対策を取る対応方法
  • (4)リスク保有:リスクを許容し、特別な対策を取らずに受け入れる対応方法

ここまで、リスクを可能な限りすべて洗い出し、対応策を立案することが重要であるとお伝えしました。リスクマネジメントPDCAサイクルを適切に回すためには、リスク認識・対応策の立案を行う「Plan」に8割の時間を割くべきと言われるほどですが、その後の 「Do」「Check」「Action」 リスクマネジメントとは がなければ「Plan」を立てた意味がありません。対応策を実行(Do)した上で、「リスクが実際に軽減したかどうか」「新たなリスクが発生していないか」「リスクの影響度は変化していないか」といった視点で見直しを行い(Check)、対応策の改善・評価(Action)を繰り返し行うことが重要です。

リスクマネジメントの基本と 6 つのステップを徹底解説

関係者に対するヒアリングを実施する。 プロジェクトのリスクを特定する最善の方法は、関係者、リーダー、対象分野の専門家に質問することです。類似するプロジェクトを過去に経験したことがあれば、どんなリスクが発生したのか、どうすればそれを防げるのか尋ねましょう。似たプロジェクトを実施したことがないという回答でも、プロジェクトの重要リスクを見逃すことがないよう、必ず主要なプロジェクト関係者からの聞き取りを行いましょう。

プロジェクトチームと潜在的リスクについてブレインストーミングを行う。プロジェクトチームは、毎日一緒にプロジェクトに取り組む仲間となるメンバーです。プロジェクトを始動する前に、どんな潜在的なリスクを想定しているのか、プロジェクトチーム全員の声を聞きましょう。プロジェクトにおける重大なリスクを特定するために、ブレインストーミングセッションの開催を検討してください。

前提条件を記録し正式に承認する。「プロジェクトマネジメント知識体系ガイド」 (「PMBOK® ガイド」) によれば、前提条件とは、プロジェクトにおいて、今後現実となることを確信しているものの、実際にそれが事実であることは保証できない要素のことを指します。プロジェクトにおいて、前提条件に基づく意思決定が、それと意識せずに行われている場合はよくあります。そのような意思決定を (前提条件を記録、検証しないまま) 行っている場合、プロジェクトのリスクに対し無防備な状態になります。現実であると確信している前提条件が、実際には事実でなければ、プロジェクトの土台が不安定になり、プロジェクトの成功が危うくなるおそれがあります。

チェックリストを確認する。一般的なリスクを含むチェックリストが、他のグループまたは部門内で作成されていないか確認しましょう。それがない場合には、今後のプロジェクト成功を図るため、自分で作成を開始しましょう。

リスク評価マトリクスを作成する。リスク評価マトリクスは、深刻度が「破壊的」「致命的」「限定的」「軽微」の 4 つの段階に分類されているので、どの潜在リスクから取り組むべきかの優先順位をつけるのに役立ちます。

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