が言える.
フィボナッチ数列の一般項を計算する(※ただし有理数に限る)
さて、この FibNum こと Rational の二要素からなるタプルは、左に \( \sqrt \) が付かない項を、右に \( \sqrt \) が付く項を格納することしよう。つまり (1, 1) と書けば \( 1 + \sqrt \) のこと。 (0, 1) と書けば \( \sqrt \) のこと。 (1 % 2, 1 % 3) と書けば \( \frac + \frac \sqrt フィボナッチ数列の等式 \) のことを表す。
式を書き下す
OK。さすがにちょっと見づらいがまあ仕方ない。でも fibDiv として素直に除算を除算のまま書き下してしまった。除算は \( 0 \) で割れないとか面倒なこともあるので、乗算の形にしておきたい。
まず、 (1, 1) `fibDiv` (2, 0) は要するに \( \frac> \) のことだが、こんなものは \( \frac + \frac\sqrt \)、つまり (フィボナッチ数列の等式 1 % 2, 1 % 2) としてしまえば良い。
後ろ側の \( \sqrt \) で割る処理は、逆数であるところの \( \frac<\sqrt> \) 、つまり \( \frac<\sqrt> \) を掛ければ良い。\( \frac<\sqrt> \) ってことは \( 0 + \frac\sqrt \) だから、ここでの表現では (0, 1 % 5) ってことだ。
演算子を実装する : 累乗
\( n \) が大きいとそのまま \(n – 1\) 回の乗算をすることになってちょっとばかり遅い。二乗の結果が使えるところはどんどんそれを使って計算させることにしよう。乗算の回数が最大でも \( 2 \log \) 回で済む。
演算子を実装する : 乗算
FibNum の乗算とは何かと言うと、\( (a + b\sqrt)(c + d\sqrt) \) ってことで、つまり、
\begin & & (a + b\sqrt)(c + d\sqrt) \\ &=& ac + ad\sqrt + bc\sqrt + 5bd \\ &=& (ac + 5bd) + (ad + bc)\sqrt \end
一般フィボナッチ数列の周期について(2)
そのまえに, 整除性の話を始めるために, ここから成分は特に述べない限り(指数や位数, 添え字を除いて)剰余環Zm=Z/mZで考えることにする. つまり前回定義した一般フィボナッチ数列はZm上の数列に, 行列ΦやGはZmに成分を持つ2×2行列の集合M(2;Zm)の元として扱うことになる. 等号はZmでの等号の意味で使うものと実数としての等号が混在することになるが, 文脈からどちらの意味か分かるようになっている(はず).
定義2.1
一般フィボナッチ数列の周期cは全てのnに対して
を満たす最小の自然数である.
このように定義すれば当然その存在性が問題になるが, 鳩の巣論法と,Zm上一般フィボナッチ数列の2つ組が前後に一対一であることから明らかだろう. また, 行列でこれと同値な定義を与えるとその意味は一層明確になる.
ΦがZm上可逆であることから結局周期とはこの最後の式を満たす最小の自然数であることが分かる. また, 同様の式を満たす自然数が全てcの倍数であり, その逆も成り立つこともほぼ明らかだろう.
定義2.2
出現点eとは, F[e]=0 を満たす最小の自然数である.
出現点eとは, あるa≠0が存在して
となる最小の自然数である.ただしIは単位行列.
注意すべきことは, 周期cは初項に依存するものであるのに対して出現点は(0,1)から始まるフィボナッチ数列にのみ意味を持つことだ. 思い出しておくと, この記事で述べることはその出現点, フィボナッチ数列で最初に0が出てくる番号さえ分かれば他の系列についても大体の性質が分かるということだった.
定義2.3
(a,b)∈Zm×Zmに対して, (a,b)系列*1とは
によって定まるZm×Zm上の同値関係"~Φ"による同値類である.
一応順序をなくした同値類として「系列」の意味を定めたが, 1つ代表元を取ってΦをかければすぐに復元できる. また, この言葉を使うと周期は系列の元の個数ということになる.
ところで0を含む系列と含まない系列があることを見たのだった. これらをそれぞれ「節有り」と「節無し」と呼び, 1周期の中に0を含む数を「節数」と呼ぼう.
定義2.フィボナッチ数列の等式 4
(0,0)系列でない(a,b)系列Cの節数sとは
によって定まる非負整数である. このとき節有り系列は s>0 の系列であり, 節無し系列とは s=0 の系列である.
一応一般の自然数に対して以上の用語を定めたが, ここからは専ら法は素数に限ることにする. そうするのはpに対して剰余環Zpがp元体(有限素体ともいう;記号Fpを使う)になって格段に調べやすくなるからに他ならない.
(I) p≡±1 mod 10のとき F[p-1]≡0, F[p]≡1 mod p
p≡±3 mod 10のとき F[p]≡-1, F[p+1]≡0 mod p
(II)出現点eと節有り系列の節数sについて,
e≡0 mod 4のとき s=2
e≡±1 mod4 となるのは p≡1 フィボナッチ数列の等式 mod 4のときに限り, s=4
e≡2 mod 4のときs=1
なお, 節有り系列の節数は全て一致している.
(III)p≡±3 mod10,またはe≡0,1 mod 4のとき
(0,0)系列を除く全ての系列の周期は(0,1)系列の周期に一致する.
p≡±1 フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式 mod10かつe≡2 mod 4のとき(0,0)系列を除いて
(0,1)系列の周期cより短い周期の系列が存在し, その周期はc/2
行列を使った表記については既に述べてきたが, フィボナッチ数列の等式 ここからの話はp元体Fp上の2次正方行列が「主役」を演じることになる. *2
「系列」はFp×Fp上の同値関係から定められていたが, その中の元(a,b)と次のFp上の2次正方行列Aとの全単射により, 行列間の同値関係が誘導される.
さらにこの行列をよく見ると,
と分解できることが分かる. なお行列Aは以降もこの意味で用いることにする.フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式
この関係からさらに興味深い構造が見えてくるが, とりあえずは素朴な数論から
示すべきことについて述べていこう.
命題2.1
奇素数pに対して, (0,1)系列の周期cと出現点e,節数sについて
c=seで, s=1,2,4のいずれか.
証明
(0,1)系列の周期は
を満たす最小の自然数であり, また出現点eはあるa∈Fpが存在して
を満たす最小の自然数である.
cをeで割りc=qe+r (0≦r<e)とすると
r≠0だとeの定義に反するためr=0でcはeの倍数. さらにqはa^q=1を満たす最小の自然数になる. F^e=aI, F^2e=a^2I,…,F^qe=Iよりqは節数sになるため, c=se. eとaの関係について, 行列式を比較すると,(-1)^e=a^2
(1)eが奇数のとき
a^2=-1から a≠1, a^2=-1≠1, a^3≠1, a^4=1よりs=4.
(フィボナッチ数列の等式 ii)eが偶数のとき
a^2=1より a=1またはa=-1. よってs=1,2
「F[e]=0ならF[4e+1]=1」はもっと素朴に示すこともできる.
フィボナッチ数の「加法定理」から,
行列で計算すればすっきりするところをまわりくどくやっているだけではあるが,
フィボナッチ数列の関係式に立ち返ってみるのも悪くはない.
上で定義した行列A[a,b]の行列式は, フィボナッチ数列の等式 系列を分類する上では本質的な意味を持つ. 同じ系列に含まれるという意味で同値な2つのFp×Fpの元は, 対応する行列式が等しいかちょうど(-1)倍になっている. (a,0)が含まれる系列では, 対応する行列式は±a^2であるから,(b,0)もまた含まれるならb^2=±a^2でなければならない. そのためこれを満たすbはaを含めて高々4個に制限されることになる.
これで目標に掲げた(II)は部分的に示されたことになる. 先に示してしまったのは, 簡単なため.
では目標に掲げた(I)を示そう.
カタランの公式を思い出すと, 奇素数pに対してp番目のフィボナッチ数は,
ただし今度の等号はp元体の元としての意味である. フェルマーの小定理から2^=1, さらに2項係数について
の関係を思い出すと,
再びフェルマーの小定理からこの値は±1であることは分かるが, そのどちらだろうか.ここで登場するのがルジャンドル記号である. つまり平方剰余が関わってくることになる.
数論の基本的な内容ではあるが, 極めて重要なため平方剰余について一通り述べておこう. ここでは合同式の記号を使うことにする. またpは奇素数とする.
定義2.5
pの倍数でないaに対して x^2≡a mod pを満たす整数xが存在するとき, aを(pに対する)平方剰余, 存在しないとき平方非剰余という.フィボナッチ数列の等式
たとえば7に対して
1^2≡1, 2^2≡4, 3^2≡2, 4^2≡2, 5^2 ≡4, 6^2=1
から, 1,2,4は平方剰余, 3,5,6は平方非剰余である.
定義2.6
ルジャンドル記号(a/p)は
によって定められる.
法pにおいて平方剰余と平方非剰余はともに(フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式 p-1)/2個ずつ存在する.
命題2.2
ルジャンドル記号に対して次の関係が成立する.ここでa,bはpの倍数でない整数, pとqは相異なる奇素数とする.
一番上の法則は
(平方剰余)×(平方剰余)=(平方剰余)
(平方非剰余)×(平方非剰余)=(平方剰余)
(平方剰余)×(平方非剰余)=(平方非剰余)
となることを言っている.
平方剰余についてはとりあえずこれで十分. では中断していた証明に戻ろう
オイラーの規準からp元体Fpの元として
となるから, 5が平方剰余であるか否かを見ればいい. 5以外の奇素数pについて相互法則から, フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式
法10に置き換えられるのはpが奇数のため.
結局, 5以外の奇素数pに対して
が示された.
F[p-1],F[p+1]に対しても同じようにしてpに対する剰余を求められるが, やや煩雑である. そこで行列を使った方法を試みよう. *3
Φに対して, ケーリー・ハミルトンの法則から, フィボナッチ数列の等式
1行目から2行目で「平方完成」, 2行目から3行目で両辺(p-1)/2乗,
3行目から4行目で両辺に(2Φ-I)をかけた.
4行目の左辺を2項展開すると,
pについて場合分けすると,
(1)(5/p)=+1 ; 5が平方剰余であるとき
(2)(5/p)=-1; 5が平方非剰余であるとき
ルジャンドル記号(5/p)を使ってまとめると,
とも書ける.
この結果は重要だ. 5が平方剰余のとき出現点も周期もp-1の約数になる.5が平方非剰余のとき出現点はp+1の約数, 周期は2p+2の(p+1以外の)約数になる.表を見ればこのことが確かめられるだろう.
実は出現点そのものについて(フィボナッチ数列の等式 この記事では)これ以上強い主張ができない. 前の記事の表を再び見ると, たとえばp=83では出現点はp+1=84, 周期は2p+2=168でたっぷりかかるパターンになっている. その一方p=89は11(p-1=88の約数)が出現点で, 周期も44と短い.表には載っていないが, 23番目のフィボナッチ数28657は素数であるため, 出現点23(28657+1を割り切って商は1246),周期92ともっと短い*4.
(a,b)系列の周期cは
を満たす最小の自然数なのだった.
行列で表したのだからΦを対角化しよう.固有値をλとして固有方程式を求めると,
思い出さねばならないのはこれがp元体Fp上での方程式だということだ. 5が平方剰余のとき2つの異なる解が存在するが, pが平方非剰余のときFp上に解は存在せず, p=5のときは重解になる.
(1)5が平方剰余 ; p≡±1 mod 10のとき
x^2=5はp元体上2つの解を持つからその一方を√5と書いてしまう. このときもう一方は-√5. そして分数を分母の逆元をかける意味で使うと結局実数の時と同じように2つの固有値は
になる.2行目は解と係数の関係である.
たとえばp=19のときx^2=5の解は9,-9=10の2つで, 固有値は5,15の2つ.
対角行列Λを次のように定めて, 各固有値に対応する固有ベクトルを並べた行列Pを用いてΦを対角化できる.
これを使ってΦのべき乗をとると周期cについて次のように書ける.
ここでA[a,b]=aI+bΦという関係があったことを思い出すと,
この成分を見てさらに場合分けする.
(イ)a+bα≠0かつa+bβ≠0のとき
(a+bα)(a+bβ)=a^2-ab-b^2≠0と表せて*5, cはα^c=1かつβ^c=1を満たす最小の自然数になる. ゆえにcはαとβの(フィボナッチ数列の等式 Fpの乗法群での)位数の最小公約数ということになる.
(ロ)a+bα=0のとき
b=-a/α=βaで, この系列は a,βa,β^2a,β^3a… という「等比数列」になる. このときa+bβ=(2+β)a≠0(a,bがともに0とはなっていないことを仮定)だから, 周期はβの位数.
(i)kが奇数のとき
仮定よりβの位数はk以上であるため位数は2kになる. これらの公約数は2k. 結局,
a^2-ab-b^2≠0またはb=βaのとき周期2k,
b=αaのとき周期kと他のちょうど半分の長さになる.
(ii)kが偶数のとき
同様にして
仮定からβの位数はk.
a^2-ab-b^2≠0,フィボナッチ数列の等式 b=αa,b=βaいずれの場合にも周期はkになる.
続けて出現点についても考える.出現点eはあるd≠0が存在して次の条件を満たす最小の自然数である.
(i)eが奇数のとき
(α^e)^2=-1より-1が平方剰余になるから, 第一補充法則よりp≡1 mod 4
eはこれを満たす最小の自然数だから, αの位数はk=4e. すなわちαの位数が偶数の場合に相当し, 節数は4.
(ii)eが偶数のとき
α^2e=1となるが,α^e=-1, フィボナッチ数列の等式 1, またe≡0,2 mod 4(それぞれ自然数e'によりe=4e', e=4e'+2とおく)のときとでさらに分ける.
(ii-1) α^e=-1 かつ e≡0 mod 4のとき
k=2eでαの位数が偶数の場合に相当し, 節数は2.
(ii-2) α^e=-1 かつ e≡2 フィボナッチ数列の等式 mod 4のとき
よりeの最小性に反す.
(ii-3) α^e=1 かつ e≡0 mod 4のとき
よりeの最小性に反す.
(ii-4)α^e=1 かつ e≡2 mod 4のとき
よってαの位数はk=2e'+1=e/2で, 奇数の場合に相当し節数は1
まとめると フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式
eが奇数のときk=4e, すべての系列で周期は等しく4e, 節数4
e≡0 mod4のときk=2e, すべての系列で周期は等しく2e, 節数2
e≡2 mod4のときk=e/2, (a, αa)系列で周期e/2, その他の系列は周期eで節数1
ちなみにαとβに対してフェルマーの小定理を使うと,
が言える.
(2)p=5のとき
1つしかないわけだからわざわざ行列で見なくてもいいが統一的に扱う*7.
固有方程式の解は
で重根を持ち対角化できないが, ジョルダン標準形には変形できる.
行列PとJが存在して, (1)と同様にして(a,b)系列の周期cを次のように表せる.
(イ)a+bλ≠0; b≠3aのとき
行列の対角成分からλ^c=1. これを代入すると(1,2)成分から
(「微分のような形」になって指数が肩から降りてきているため合同記号を使った.)
λの位数は3^2=4, 3^3=2, 3^4=1より4だから, cは4と5の最小公倍数で20.
出現点eについて考えると, あるdが存在して
を満たす最小の自然数で, c=4e. 節数4.
(ロ)a+bλ=0; b=3aのとき
行列の(1,2)フィボナッチ数列の等式 成分からbλ^c=b. cはλの位数で4
(3)5が平方非剰余 ; p≡±3 mod 10のとき
固有方程式はp元体の中に解を持たない. 言い換えると固有多項式はFp係数多項式環Fp[X]において既約である. そこで2次方程式の解が実数の中に存在しなかったとき虚数単位を導入したように, この固有多項式の根を「新しい数」として付け加えてしまうことを考える. 代数の言葉で言うと フィボナッチ数列の等式 X^2-X-1 の生成するイデアル(X^2-X-1)による剰余環Fp[X]/(X^2-X-1)$を考えるのだ. これは体になって, Fp上の2次元ベクトル空間, 拡大次数2の拡大体である. Xの代表する類 X+(X^2-X-1) フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式 をφとすると, φ^2-φ-1=0でこれが根の1つになる. はベクトル空間としての基底になり, 新しい体はFp+Fpφで表せる.
これはガロア体GF(p, 2)とも呼ばれるものである. この中で固有方程式はもう1つの解 1-φ を持つためこちらは φ* としよう. また, ここでは単純にFp^2とこの体を表すことにしよう.
まわりくどい導入をしたが, 結局「5の平方根」をp元体上に付け加えるのと同じことである.
平方剰余と平方非剰余の積は平方非剰余だったから, 全ての平方非剰余がFp^2の中では異なる根を2つずつ持てることになる.
これを使うことで, 行列ΦはFp^2上の行列として対角化することができる. 手順としては(1)の5が平方非剰余だったときとほとんど同じで, ただ単にαとβをφとφ*で置き換えれば済むので省略し, 周期cについて以下のような表し方を得る.
ただし今度はa+bφもa+bφ*も0とはならない. というのも, 仮に0になればaとbはともに0とはならないFpの元であるという仮定に反するためである. 1とφがFp上のベクトル空間の基底として一次独立だったことを思い出そう.
つまり周期cは全ての系列でφとφ*の, 今度はFp^2の乗法群での位数の最小公倍数ということになる.
ちなみに「p≡±3 mod フィボナッチ数列の等式 10のとき一般フィボナッチ数列の周期はフィボナッチ数列の周期に一致する」という命題はアメリカの数学者ドナルド・ウォールの名前から「ウォールの定理」と呼ばれるらしい.
なお以下のようにして命題(II)が再度示される.
Fp^2の乗法群は元の個数が p^2-1 の巡回群であるから,
一方,
よって,
フィボナッチ数列の等式
が言える.
これはφとφ*の位数が2(p+1)で割り切れ, (p+1)ではないことも意味する.
以上の考察から出現点による系列の分類ができた. まとめると, 出現点e, 周期c, (0,1)系列の節数eについて以下の関係が成り立つ. 周期が系列に依存する値であることに注意.
- p≠5のとき
- e ≡ ±1 mod 4 のとき全系列でc=4e, s=4
- e ≡ 0 mod4 のとき全系列でc=2e, s=2
- e ≡ 2 mod4のとき
- e≡±1 mod 10 のとき λ^2-λ-1=0の解がFp上に2つ存在し,位数が小さいほうαに対し(a, αa)系列でc=e/2, その他の系列はc=eでs=1
- e≡±3 mod 10 のとき 全系列でc=e, s=1
- p=5のとき
系列の個数については単にFp×Fpから(0,0)を除いたp^2-1の元を周期で分けていけばいい.
目標に達したのでここで終える.
ここまで来ればどれも当たり前のように思えるが, フィボナッチ数列という単純な再帰数列を通じて整数の色々な性質や代数的な構造が現れてきたことには驚かされる. フィボナッチ数列やはりおもしろい.*1 : 「軌道」と言うほうがグローバルだったかもしれないが, 自分の中で「系列」で定着しすぎてしまったのでこう呼ぶ. しかしあまりローカルな言葉を生やしたくない気持ちもある.
*3 : この証明は中村滋『フィボナッチ数の小宇宙』(日本評論社, 2002年)p.215に載っている証明を部分的に変えたものである. その他この記事の多くの部分もこの本によるところが大きい.
Fibonacci 数列
$2$ 次方程式 $x^2-x-1=0$ の2つの解を $\alpha, \, \beta \quad (\alpha > \beta)フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式 $ とする.
解と係数の関係より,$\alpha + \beta = 1, \quad \alpha \beta = -1$ に注意すれば,漸化式より
\[
\begin
F_-\alpha F_
&=(1-\alpha)F_+F_n=\beta F_-\alpha\beta F_n=\beta(F_-\alpha F_n), \\
F_-\beta F_
&=(1-\beta)F_+F_n=\alpha F_-\alpha\beta F_n=\alpha(F_-\beta F_n) \\
\end
\]
が成り立つ.$a_n = F_-\alpha F_n$ とおけば,第1式は
\[
a_ = \beta a_n, \quad a_1 = F_-\alpha F_1 = 1-\alpha = \beta
\]
となり,数列 $\$ は初項,公比が $\beta$ の等比数列と判るから
\[
F_-\alpha F_n = a_n = \beta^n
\]
を得る.$b_n = F_-\beta F_n$ とおけば,第2式から同様の手順で
\[
F_-\beta F_n = b_n = \alpha^n
\]
を得る.それぞれの結果の差をとって整理すれば
\[
F_n = \frac=\frac>\left\<\left(\frac<1+\sqrt>\right)^n-\left(\frac>\right)^n\right\>
\]
が成り立つ($\alpha-\beta=\sqrt$ は計算した).また,$\phi$ の定義より $\alpha=\phi$ であるから
\[
F_n = \frac = \frac<\phi^n-(1-\phi)^n>>=\frac<\phi^n-(-\phi)^<-n>>>
\]
が従う.・ $2$ 次方程式 $x^2-x-1=0$ の2つの解を $\alpha, \, \beta \quad (\alpha > \beta)$ とする.
・ ここで,整式 $x^n$ を $2$ 次式 $x^2-x-1=0$ で割った商を $Q(x)$ とすると,余りは $1$ 次式であるから $p_nx+q_n$ とおくことができて
補題 1.5:階段の上がり方
$n$ 段からなる階段を,$1$ 歩で $1$ 段,または $1$ 歩で $2$ 段のどちらかの方法を組み合わせて一番上まで上がる.このとき,階段の上がり方は全部で $F_$ 通りである.
$n=1$ のとき,$1$ 段の階段を上がる方法は「$1$ 歩で $1$ 段を上がる」の $1$ 通り.
$n=2$ のとき,$2$ 段の階段を上がる方法は「$1$ 歩で $2$ 段を上がる」か「$2$ 歩で $1$ 段ずつ上がる」かの $2$ 通り.
これはそれぞれ $F_2, \, F_3$ の値に等しい.$n=k, \, k+1$ のときに正しいと仮定する.すなわち,$k$ 段の階段を上がる方法は $F_$ 通り,$(k+1)$ 段の階段を上がる方法は $F_$ 通りであると仮定する.
$n=k+2$ のとき,$(k+2)$ 段の階段を上がることを考える.最初の $1$ 歩で $1$ 段だけ上がるとき,残る $(k+1)$ 段の上がり方は,仮定より $F_$ 通りである.最初の $1$ 歩で $2$ 段上がるとき,残る $k$ 段の上がり方は,仮定より $F_$ 通りである.最初の上がり方はこの $2$ 通りしかないから,$(k+2)$ 段の上がり方は
\[
F_ + F_ = F_
\]
通りである.ゆえに $n=k+2$ のときも正しいことが示されたから,数学的帰納法によって,すべての非負整数 $n$ について題意は成り立つ.厳選!フィボナッチ・フルコース~フィボナッチ数のマニアックな世界へ~
ただし、\(F_1=F_2=1\)とします。これは漸化式といって、前の番号の数の情報によって新たな数が構成されていく仕組みになっています。こうして得られる数列をフィボナッチ数列、そしてフィボナッチ数列に現れる数をフィボナッチ数と呼びます。
フィボナッチ数は前2つの数を足すことによって構成していきます。例えば、1番目と2番目は\(1\)であることから3番目は\(1+1=2\)。4番目は\(1+2=3\)、5番目は\(2+3=5\)となります。最初のいくつかのフィボナッチ数を求めてみましょう。2.フィボナッチ・フルコース
①.フィボナッチ数の整除性(オードブル)
\(p\) を\(5\)で割って\(1\)または\(4\)余る素数とする(たとえば\(11\), \(19\)など)。このとき\(p-1\)離れたフィボナッチ数たちの差は必ず\(p\)の倍数になる。つまり、以下が成り立つ。
これは中々エキゾチック。ちょっと確かめてみましょう!
\(p=11\) とします。適当に8番目のフィボナッチ数\(F_8=21\)をとってきましょう。定理によると\(p-1=10\)フィボナッチ数列の等式 個進んだ18番目のフィボナッチ数\(F_\)を見てみます。すると\(F_=2584\)。結構大きい数になりますね。果たして差は\(11\)の倍数になるのでしょうか?さっそく計算してみましょう。$$F_-F_9=4181-34=4147=11 \times 377$$
②.Lameの定理(スープ)
なんと、Euclidの互除法の回数は\(5n\)回で評価できるのです。しかも、隣り合うフィボナッチ数のペアの場合、最も作業回数が多い(めんどくさい)とのこと!
例えば、\(フィボナッチ数列の等式 144\)と\(89\)のペアを考えて互除法を行いましょう。このとき小さい方の\(89\)の桁は\(2\)桁なので、定理によると\(5\times 2=10\)回も互除法を行わなければならないようです。実際にヒマワリ・稲妻…自然界を司る神秘的な「数式」 美・自然のなかの数学(2)
性質1:直前の2数を足した数になっている
性質2:隣り合う数の比が限りなく黄金比に近づく
ひまわりの種(小花)が隙間なく密集しているのも、フィボナッチ数列に沿った種の配列がなされているため。生物は生き残るために数学を用いている
1、1、2、3、5、……とフィボナッチ数列の各数を一辺とする正方形の頂点に沿って曲線を引くと「対数らせん」の一種が描かれる
銀河系の巨大な渦巻きは、フィボナッチ数列を基にした対数らせんの形状によく似ている
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