これらは、単に「非伝統的」な投資と異なる点があるというだけが共通点であり、投資家の意思決定には不便な用語法だ。もう少し丁寧な分類が必要だと思う。
証券アナリスト試験のテキスト的な書籍として有名な「新・証券投資論Ⅱ 実務編」(伊藤敬介・荻島誠治・諏訪部貴嗣、日本経済新聞社)は、数あるオルタナティブ投資を、投資対象を拡大しているのか、それとも、投資手法が拡大されているのかという投資手法の観点と、運用上取るリスクが、伝統的な資産の市場リスクなのか(伝統的ベータ)、非伝統的な資産の市場リスク(エキゾチック・ベータ)なのか、或いはアクティブ運用のアルファ(市場リスクによらない超過リターン)なのか、という観点を組み合わせて分類している(ご興味のある方は、前掲書の397ページを参照されたい)。
手法とリスクの分類がそれぞれ一通りに決まるなら、2×3=6通りで分類できることになるが、手法・リスク共に複数にまたがることが可能なので、なかなかスッキリと分類できない。
たとえば、ヘッジファンドでは、主に伝統的な資産のアクティブ・アルファを拡大して獲得することを目指すものが多い。株式のロング・ショート運用が典型的だが、これは、運用手法が拡大的だという解釈になる。
あるいは、エマージング株式、コモディティ、不動産(REITを含む)、などは、主にエキゾチック・ベータのリスクを取る運用と分類される。
エマージング(新興国)株式は、既に個人投資家にもインデックス・ファンドなどを通じた投資が普及しつつあるし、むしろ伝統的なアセットクラスに入れて考えていいのではないだろうか。
また、コモディティは確かに先進国の株式や債券以外のリスクを取るのだが、株式や不動産への投資のように資本を提供してリスクを取る形ではなく、先物市場などでゼロサムゲーム的なリスクを取るので、これをプラスのリスク・プレミアムが期待できるような印象の「エキゾチック・ベータ」のリスクとして分類しておくことには問題がある。
オルタナティブ(alternative)投資の特徴!普通の投資と何が違うのか?
オルタナティブ投資では普段は直接投資できない資産に投資が可能です。
具体的にはベンチャーキャピタル、再生系ファンド、不動産ファンド、ヘッジファンドなどへ間接的に投資できます。
また、伝統的な資産以外にオルタナティブ資産の保有で、分散投資が可能です。
株式や債券だけでは市場が落ち込んだ時、大ダメージを受けてしまう恐れがあります。
しかし、オルタナティブ投資では色々な資産があるので、リスクを分散しておけば市場が低迷しても最小限の損失で抑えられる可能性が高いです。
デメリット
伝統的な資産への投資でない分、対象となるものや運用方法、仕組みなどが複雑で、初心者や知識が少ない人には難しい投資方法です。
複雑な仕組みを理解できていないと、上手く運用できず失敗に終わってしまうでしょう。
試算によっては流動性が低く、自分の好きなタイミングで換金できないケースもあります。
他にも投資分に回収に時間がかかったり、コストが普通の投資よりも高くなったりする場合も多いです。
また、オルタナティブ投資では、手元に通常よりも大きな額の資金を用意しておかなければならない点もまとまった資金がない人にとってはデメリットです。
オルタナティブ投資にはどんな投資商品があるの?
不動産はオルタナティブ投資では代表に挙げられる商品です。
賃貸による家賃収入か不動産の売買で利益を得ます。
物価と連動するのでインフレに強いメリットを持ち、また賃貸経営により安定した収入を得ることが可能です。
ただし、多額の初期費用が必要で、流動性が低いのですぐに売って換金することはできないため、長期運用が求められます。
その一方で、不動産投資信託とも呼ばれるREIT(リート)が開発されました。
REITは小口化された信託商品を一般投資家に向けて販売し、その資金を使って運用会社が不動産を購入して保有、管理を行います。
そこから得られた家賃収入または売却益を、投資家に分散する商品です。
REITは比較的に安定性が保たれた不動産に分散投資を行っています。
ただし、アフターコロナや働き方改革でオフィスへの通勤が不要になるなど生活様式の変化の影響を受けるので、対象不動産を見極める必要があります。
コモディティ
原油、ガソリンといったエネルギーや金・プラチナなどの貴金属、トウモロコシ、大豆のような穀物などの商品先物市場で取り扱う商品が投資先となります。
不動産と同じく物価と連動するのでインフレに強い点がメリットですが、配当金のようなインカムゲインはありません。
社会情勢が不安定で株式が落ち込む局面では、主に金がコモディティ投資のメインとなります。
また、他の貴金属やエネルギーは有限である分、価値が下がりにくい資産です。
しかし、穀物は天候によって良し悪しが変わりやすいので注意しましょう。
オルタナティブ投資とは何か?魅力がわかるポイント8選
資産運用
「オルタナティブ」とは、直訳すると 「代替物」 という意味をあらわす単語です。
1、オルタナティブ投資とはどんな投資?急成長の背景は?
どのような金融商品が好まれるのかというのは、その時のマーケット状況や各商品の需給によって異なりますが、株式市場が軟調である際にも利回りを狙う、いわゆる「 アルファ」の創出を策す「新しい(非伝統的な)投資手法」 としてオルタナティブ投資に、近年注目が集まってきています。
2、オルタナティブ投資商品の種類は? 〜投資対象急増中?
(1)ヘッジファンド
株式投資をされている方であれば、 「ヘッジファンドの大きな買い観測」「ヘッジファン ドのグローバル・マクロ戦略 オルタナティブ投資とは 」などという言葉やニュースを見たり聞いたりされた方も多いのではないでしょうか。
先ほどの「グローバル・マクロ戦略」もその手法の一つに数えられ、他にも 「ロング・シ ョート」や「イベントドリブン」 といった戦略を用いてヘッジファンドは利益を狙っているというわけです。
(2)不動産ファンド
最近は 「J-REIT(ジェイリート)」 と呼ばれる、上場型の不動産ファンドも増加傾向にあり不動産ファンドへの投資ハードルは下がってきていると言ってよいでしょう。
(3)商品(コモディティ)ファンド
「商品(コモディティ)ファンド」は、 代表的リスク回避資産であるゴールドや、産油国の情勢に影響を受けやすい原油といった商品に投資を行っているファンド です。
(4)プライベート・エクイティ・ファンド
「プライベート・エクイティ・ファンド」は機関投資家および個人投資家から募った資金を、 未公開株(非上場株)や経営破綻している企業に投資 し、その企業を成長・再生させ企業価値を高めたうえで売却することで利益を狙うファンドのことを指します。
(5)証券化商品
最後に紹介する 「証券化商品」は、融資(利子付きの資金貸し出し)や、不動産といった将来利益が見込めるであろう金融資産を担保に発行された有価証券 のことを指します。
3、ここ数年でオルタナティブ投資が増えている背景
4、オルタナティブ投資のメリット
・株式・債権市場が低迷期であってもリターンを狙える投資である
・運用先を分散することによるリスク管理が行える
・収益を得る方法が多様化できる
しかしそういった商品とはそもそも投資対象・運用方針・投資手法が異なっているオルタナティブ投資では、 伝統的資産への投資におけるデメリットをカバーできる特性 があります。
5、オルタナティブ投資のデメリット
・投資にかかわる情報における不透明性が存在する
・流動性が低い商品に投資を行っている場合、値動きの極端性・換金にリスクがある場合がある
・投資コストが高くなる場合がある
オルタナティブ投資の中には「高いリターン」を掲げ、実際に好パフォーマンスを出し続けているものも多く存在しますが、実際には「高いリターン」を売り文句に、実際には何をやっているのかが分からない、 情報開示の不透明な商品 もあります。
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