漸化式(フィボナッチ数列)を線形代数(線形空間、固有ベクトル)で解く方法を解説
(\(W:= \mathbb^2\)とし、\(\varphi : V\to W\)を\(\\mapsto (a_0,a_1)\)によって定めると、\(\varphi\)は全単射な線形写像、すなわち同型写像です。このとき、\(T_A: W\to W\)を\(Tx=Ax\)により定めると、\(T_A \circ \varphi = \varphi \circ T\)が成立しています。つまり、\(V\)と\(W\)を同一視、すなわち数列の最初の2項のみに注目することで、数列のシフト\(T\)は行列\(A\)と同一視できるわけです。)
このとき、\(\\>=T(\)= \lambda \\)なので、任意の\(n\)に対して\(b_= \lambda b_n\)が成立しています。これを繰り返し用いれば、\(b_n = \lambda ^n b_1\)なので、固有ベクトルとなる数列の一般項が\(n\)によって表すことができるわけです。
\(T\)の固有ベクトルは、等比数列です。\(T\)の固有ベクトルを基底として\(W\)の元を表すことは、漸化式を満たす数列を等比数列の線形結合として表すことに対応しています。等比数列を定める漸化式は簡単に解けるので、そういう形に帰着させたいですね。
では、\(T\)の固有値・固有ベクトル、すなわち表現行列\(A\)の固有値・固有ベクトルを求めましょう。\(Ax = \lambda x\)を満たすような\(\lambda\)は、固有方程式、または特性方程式
によって求まるのでした。計算してみると、\(\mathrm (A-\lambda E) = \lambda ^2 -\lambda -1\)なので、固有方程式を解けば
です。これに対応する\(T\)の固有ベクトル、\(b_n =(\frac<1\pm \sqrt<5>> )^n b_1\)を満たしています。
まとめ・一般化
漸化式\(a_+b_1 a_+\cdots フィボナッチ数列の等式 + b_n a_r =0\)によって定まる数列\(\\)を、最初の\(n\)項によって表したいという問題を考えます。
\[ \begin\lambda フィボナッチ数列の等式 ^n + b_1 \lambda^+\cdots + b_ フィボナッチ数列の等式 \lambda +b_n =0\end \]
\[ \begina_n = c_1\lambda_1 ^n + c_ 2 \lambda_2 ^n +\cdots + c_n \lambda_n^n\end \]
\(P^ A P =\begin \lambda_1 & 0 & \cdots&0 \\ 0 &\lambda_2& \ddots&\vdots \\ \vdots&\ddots &\ddots& 0 \\ 0& \cdots& 0 & \lambda_n \end \)
と対角行列になるのでした(これを行列\(A\)の対角化という)。対角行列は、その\(n\)乗を簡単に計算できる(対角成分を\(n\)乗した行列になる)性質があります。したがって\(A^n\)が計算できるので、一般項が求められたわけです。
フィボナッチ数列の場合は重複する解を持ちませんでしたが、重複する解を持つ場合でも、工夫すれば一般解を求められます。対角化はできなくとも、\(A^n\)を計算しやすいような形にできれば良いわけです(対角化はできなくても、ブロック対角化はできる)。そのためには、広義固有空間、ジョルダン標準形の考え方が必要です。
また、今回漸化式で議論したことは、線形常微分方程式でも同じように扱えます。
解空間は\(n\)次元、シフト写像\(T\)は微分作用素\(x(t)\mapsto \frac (t)\)、等比数列に対応するのは指数関数\(e^<\lambda t>\)です。特性方程式を使った線形常微分方程式の一般解の求め方は、常微分方程式論の教科書や講義でも扱われます。
これまでの議論は、方程式が線形であるから有効なのでした。調べたい現象を表す漸化式・微分方程式が線形でない、すなわち非線形なときは、今回の議論は通用しません。非線形方程式を解くのは難しいですが、まずは線形方程式を解く方法を知っておくのが、大事な一歩でしょう。
フィボナッチ数列とは? 問題に隠れた規則性に気づけるようにしよう
中学入試では、並べられた数字から規則性を見つけ出す問題がよく出題されます。数列で有名なものといえば、等差数列、等比数列、階差数列などですが、ひときわ目立つ名前の数列があります。それがフィボナッチ数列です。名前からして異彩を放っていますが、その性質も神秘に満ちたもので、魅了されてしまった科学者も多くいるほどです。今回は中学受験に向けてフィボナッチ数列にどう対処すべきかを、例題を交えながら解説します。
フィボナッチ数列とは?
1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, 89, 144……
まずは規則性を理解する
差を計算すると、フィボナッチ数列らしき数字が出てきました。フィボナッチ数列は、直前の2つの項の数を足したものが次の項の数になる数列です。そのためこのような結果になるんですね。規則自体はとてもシンプルです。一度でもフィボナッチ数列を見たことがあれば、規則性はすぐに理解できるでしょう。
自分で書いてみると簡単さがわかる
「場合の数の問題」にフィボナッチ数列が現れる
【例題1】 階段の登り方は何通り?
4段目までの登り方は、「2段目まで登ってから4段目に到達する2通り」と「3段目まで登ってから4段目に到達する3通り」があるので、合計5通りです。つまり、4段目までの登り方の「場合の数(5通り)」は、2段目までの登り方の「場合の数(2通り)」と、3段目までの登り方の「場合の数(3通り)」の合計になるのです。まさにフィボナッチ数列のような関係になっています。
6段目までの登り方であれば、図を描いて場合分けをしていけば力わざで解けてしまう場合もあります。しかし、15段目までの登り方を答えさせる問題があったらどうでしょうか? 答えは、なんと987通り! フィボナッチ数列であることに気づいていないと、とうてい解くことはできませんね。
【例題2】 タイルの並べ方は何通り?
このとき、「縦2cm×横4cm」の並べ方の「5通り」は、「縦2cm×横2cm」に並べた場合の「2通り」と、「縦2cm×横3cm」に並べた場合の「3通り」を合計したものと同じです。またしても、フィボナッチ数列が見えてきました。
フィボナッチ数列の等式
フィボナッチ数列の第10項までのどの2つの数を組み合わせてもその和が一致しないことはどのようにわかるのでしょうか? わかる方解説お願いします。 1,2,3,5,8,13,21,34,55,89
質問者が選んだベストアンサー
これはフィボナッチ数列の定義さえわかっていれば簡単にわかります。 選び出す2×2個の数がそれぞれ (m1番目の項,m2番目の項)、(n1番目の項,n2番目の項)とします。 ここでm1=m2番目の項+m1番目の項 となります。最初の等号はフィボナッチ数列の定義。次の等号が成立するのはm2=n2-1,m1=n2-2の場合のみ。 n1番目の項>0ですので n2番目の項+n1番目の項>m2番目の項+m1番目の項 となります。 第10項までといわず、どこまでとってもこの関係は成り立ちます。
質問者からのお礼 2009/04/12 11:22
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DifferenceRoot
線形差分方程式 lde [ h , k ] で指定されたホロノミック数列 を与える.
純ホロノミック数列 を与える.
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が Infinity に近付くときの DifferenceRoot オブジェクトの最高次の漸近項を求める:
第36回 いとしのフィボナッチ(後編)
【書籍刊行のお知らせ】
結城浩です。いつもご愛読ありがとうございます。
書籍化第一弾として『数学ガールの秘密ノート/式とグラフ』が 2013年7月に刊行されます。ぜひ応援してくださいね!
なお、書籍化第二弾は2013年12月刊行の予定です。
一つずらした自分になる
僕 「だから、フィボナッチ数列というのはこういう数列になる。この数列を研究してみよう」
ユーリ 「うん」
僕 「数列の研究ではまず — —」
ユーリ 「《階差数列を求める》んでしょ! ユーリ、やってみる!」
フィボナッチ数列の階差数列を求める
ユーリ 「へえっ! おもしろい! フィボナッチ数列は — —階差数列を求めると、一つずらした自分になるんだね!」
フィボナッチ数列の階差数列は、一つずらした自分になる
僕 「確かにおもしろいな、その発見」
ユーリ 「だよね! ……あれ? でもこれはあたりまえかにゃ?」
僕 「あたりまえというと?」
ユーリ 「だってさ、フィボナッチ数列って、二つ足したら次になるんでしょ? だったら、差をとったら一つずらした自分になるのはあたりまえじゃん」
僕 「まあ、あたりまえといえばあたりまえなんだけどね。簡単な式変形でわかるよ」
ユーリ 「これでなんで《わかるよ》って言えんの?」
僕 「だって、ほら、左辺の $F_ - F_$ という式は添字の部分をよく見ると、隣り合っている二つの項の差を取っていることがわかるよね。つまり階差を求めているわけだ」
ユーリ 「ほー」
僕 「そして右辺の $F_n$ という式はフィボナッチ数列の一般項、つまり第 $n$ 項だよね。だから、この式 $F_ - F_ = F_n$ は《階差を取ると自分になる》ということを表現している」
ユーリ 「してないよ」
僕 「え?」
ユーリ 「《階差を取ると自分になる》じゃなくて、《階差を取ると一つずらした自分になる》でしょ? だって、ほんとの階差なら $F_ - F_$ じゃなくて、 $F_ - F_n$ のはずだもん」
僕 「あ、そ、そうだね。その通りだ」
ユーリ 「階差が自分になったら、 $2$ のべきじょうになっちゃうし」
僕 「ユーリはよくそういうのを見つけるよね」
( ユーリ はめんどうくさがりだけれど、妙なところできっちりミスを指摘するんだよな……)
ユーリ 「ねーお兄ちゃん。そんなことより、気になることあんだけど」
僕 フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式 フィボナッチ数列の等式 「なに?」
ユーリ 「ユーリがね、一つずらした自分になるって言ったときにね、お兄ちゃん、すぐに数式を出してきたじゃん?」
僕 「ん? まあ、そうだね」
ユーリ 「あれはなんで?」
僕 「なんでと言われても困るけど……」
ユーリ 「あのね、なんでお兄ちゃんはすぐに数式を出したの? 出そうと思ったの?」
僕 「それは……きちんと答えるのは難しいな。まず、数列について何か確かなことを言おうとしたら、 たいていの場合は、数式を使うしかないからだよ。 《フィボナッチ数列の階差数列は一つずらした自分》を確かめるために、 フィボナッチ数列の定義の式を持ち出してきたんだ」
ユーリ 「……」
僕 「ねえユーリ。お兄ちゃんはね、数学をするとき、具体例を作って考え、数式を使って確かめるのが好きだ。 学校の勉強のときもそうだし、自分で好きな数学の本を読むときもそうだよ」
ユーリ 「具体例を作って考え、数式を使って確かめる……」
僕 「そう。だから、なんていうのかな — —数学で数式を使うのは《いつもやってること》なんだよ。だからユーリがフィボナッチ数列について見つけた発見も、 《数式を使って確かめよう》とすぐ思った。それは、いつもやってること、あたりまえのことなんだ」
ユーリ 「ふーん……」
僕 「水を飲むのに蛇口をひねるとか、ご飯を食べるのにお箸を持つとか、数学で数式を使うっていうのはそのくらい自然なことかもしれないよ。 もちろん場合によっては手で水をすくって飲むことも、おにぎりを手で食べるということもあるけれどね」
ユーリ 「へー……」
いつも大きく?
僕 「それにしても、フィボナッチ数列の階差数列を取ると一つずらした自分になるっていう《ユーリの発見》は、とてもおもしろい発見だと思うよ」
ユーリ 「だよね。ところでさ、お兄ちゃん」
僕 「なに?」
ユーリ 「等差数列とか、等比数列とか、フィボナッチ数列とかいろいろ教えてくれたけど、いつも大きくなるばっかりじゃん? 他の数列を考えてもいーよね」
僕 「等差数列がいつも大きくなるとは限らないよ。この数列は等差数列だけど、だんだん小さくなってる」
$$ 100, 99, 98, 97, 96, 95, フィボナッチ数列の等式 \ldots $$
ユーリ 「あ、そっか。この数列は $0$ で終わるの?」
僕 「いやいや、そこから先はマイナスに突入する」
$$ 100, 99, 98, 97, 96, 95, \ldots, 2, 1, 0, -1, -2, -3, \ldots $$
ユーリ 「あー、そりゃそっか」
僕 「小さくなる等差数列は 公差 ( こうさ ) がマイナスだってことだね。それは階差数列を調べてみれば一目瞭然だ」
ユーリ 「ふむふむ」
僕 「等比数列でも小さくできる。公比を $1$ より小さな正の数にすればいい。たとえば $\frac$ とかね」
ユーリ 「あ、そっか。それで小さくなるか。公比がマイナスでも小さくなっていくよね」
僕 フィボナッチ数列の等式 「いやいやだめだよ。公比がマイナスなら、小さくなったり大きくなったりする」
ユーリ 「なんで……あそっか!』
僕 「公比がマイナスだと、かけるたびに正の数と負の数が交互に反転するからね」
ユーリ 「そーか、そーだね……ねーお兄ちゃん。もっと変な風に大きくなったり小さくなったりする数列作ってよ!」
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