1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事に入社し、非鉄金属取引に従事。英国住友商事(現欧州住友商事)に出向し、ロンドンに駐在。その後、当時世界最大の非鉄金属トレーダーだったMetallgesellschaft Ltd.(ロンドン本社、現JPモルガン)に移籍し、唯一の日本人として非鉄金属取引を極める。2000年に三井物産フューチャーズに移籍。「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場の分析および投資戦略の立案を行う。2007年7月にアストマックス入社し、チーフファンドマネージャーに就任。ヘッジファンド運用に携わる。2015年4月にエモリキャピタルマネジメントを設立。自己資金運用を行う一方、株式・為替・債券・コモディティ市場分析・投資戦略に関するメールマガジンを発行する一方、講演やテレビ・ラジオ出演を行っている。
「高金利通貨トレードで「金利差狙いで中長期保有」が間違いといえるワケ
FXの「特徴」の一つに、利回りの高い外貨での取引し金利差利益を得る(第2回参照)ということがあります。日本は長い間、世界を代表する低金利国となってきただけに、資産運用の醍醐味の一つである利回り追求に渇望した日本の投資家が、FXに期待するということはあるでしょう。 そんな円に比べて相対的に高い外貨の利回りといったことも、2020年3月のいわゆる「コロナ・ショック」を受けて一時はかなり変わりました。世界一の経済大国である米国がゼロ金利政策を採用しただけでなく、世界的にことごとくコロナ対応の金融緩和、利下げに動いたことから「日本では考えられないような高い利回り」といった外貨も少なくなりました。ただそれにしても、相対的に円に比べて外貨の金利は高く、そして世界経済が徐々に「コロナ前」に戻る中で、日本との金利差も以前の状況に戻っていきそうです。 たとえば、FXでかなり多く取引されている比較的金利の高い通貨として、冒頭でも述べたように、トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドなどがあります。このうち、トルコリラについては、近年暴落を繰り返し、高い利回りの魅力も失せてしまった印象があるので、今回はほかの2通貨について見てみましょう。 中央銀行が金融政策の手段として使用する金利を政策金利と言いますが、2022年4月末現在で、メキシコは6.5%、そして南アフリカは4.25%となっています。ゼロ金利政策の日本と比べると、魅力に感じる可能性があるでしょう。 金利差とは「インカムゲイン」で、基本的には安定的な収入に位置付けられます。そんなインカムゲインが、比較的大幅な金利差によりある程度期待できるなら、FXのもう一つの収益機会である「価格の値上がり益=キャピタルゲイン」は脇において、中長期で保有するといった考え方が出てくるのもわからなくはないでしょう。 例えば、ある資産家トレーダーは、比較的高い金利の通貨ばかり10億円以上といった具合にかなりの金額で購入していました。このため、金利差利益、つまりスワップポイントの収入だけで毎月数百万円規模にも達しました。まさに「優雅なるスワップポイント生活」といっても良かったかもしれません。 想像してみてください。こういった状況なら、相場の値上がりにはほとんど期待する必要はないでしょう。スワップ・ポイントだけで毎月数百万円も入るなら、普通ならそれだけで十分優雅な日々が過ごせそうです。 ただし、その中で気を付けなければならないのは、相場の上昇どころか、逆に相場が大きく下落するリスクです。大幅な相場の下落に伴う損失によって、せっかくの金利差が吹っ飛んでしまう可能性があります。 それどころか、相場の下落次第では、強制的な損切り(ロスカット)に追い込まれ、取引終了となれば、投資した資金がゼロになってしまうリスクもあるわけです。その意味では、「優雅なるスワップポイント生活」の大前提は、最低でも取引が継続している状態、ということになるでしょう。 このように高金利通貨への投資も、せっかくの金利差収益が「キャピタルロス」とも呼ばれる相場の値下がり損で台無しにならないように、下落リスクが限られるかを見極めることが、実は重要になるでしょう。
南アフリカランド/円の今後の見通し|高金利通貨の特徴とは?
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